BLOG

カテゴリー:

スタッフブログ

総入れ歯になった場合、噛み方にコツなどはあるのでしょうか?

板橋区上板橋の歯医者さん、シエル歯科クリニックです。
今回のテーマは「総入れ歯になった場合の噛み方」です。
総入れ歯は天然の歯と感覚が全く違うため、
使用したばかりの頃はその感覚に苦労します。

うまく噛めない、すぐ外れてしまう…そんな不自由さに悩んでしまう人も少なくありません。

確かに総入れ歯は天然の歯と同じ感覚で使用することは不可能ですが、
コツをつかめば上手く噛めるようになります。ここでは、そんな総入れ歯の噛み方のコツをお伝えします。

1. 咬合力を知っておく

咬合力、つまり噛み合わせの力は天然の歯に比べて総入れ歯では3割程度になります。
つまり今までの3割の力でしか噛めないため、当然食事は不自由になります。
総入れ歯を使用する際は、まずこの事実を知っておかなければなりません。

今までと同じものを食べようとすると、その食材によっては噛み切れなくなってしまうのです。
また、食べ方にも工夫が必要です。強く噛めないので一度にたくさん口に入れるのは危険ですし、
調理の仕方や食材の切り方にも工夫が必要です。

2. シーソーの原理を知っておく

総入れ歯はシーソーと同じ原理になっており、一方に力が掛かることでもう一方が浮き上がります。
そもそも左右両方の歯で均等に噛むのが噛み方のお手本ですが、
天然の歯では正直そこまでお手本にこだわらなくても何とかなります。

しかし総入れ歯ではそうはいかず、お手本どおりに噛まないと一方が浮き上がって外れてしまうのです。

これは左右の歯だけでなく、前歯と奥歯にも同じことが言えます。
咬合力の弱さとシーソーの原理…総入れ歯を使用するならこの2つの特徴を知っておいてください。

3. 前歯と奥歯の使い方

さて、ここから実際に噛む時のコツについて説明していきます。
まず前歯と奥歯ですが、これらの歯はそれぞれ決まった役割を持っており、
前歯は噛むのが役割、奥歯は潰すのが役割になっているのです。
つまり、「前歯で噛んで奥歯で潰す」が総入れ歯の噛み方の基本になります。

最も、これも正しい噛み方のお手本なのですが、やはり今までこれを無視していた人もいるでしょうし、
その場合今までのクセのせいでこの噛み方が不自由に感じると思います。
しかし、お手本どおりに噛まないと上記で説明したシーソーの原理が原因で、
前歯か奥歯が浮き上がってしまうのです。

4. 両側の歯の使い方

これもクセがついている人は、最初は難しく思うかもしれません。
総入れ歯で噛む時は両側の歯で均等に噛まなくてはなりません。
理由は想像がつくかもしれませんが、やはり上記で説明したシーソーの原理が関係してきます。
シーソー状態の総入れ歯においては、片側だけの歯で噛んでしまうと反対側が浮き上がってしまうのです。

総入れ歯とは言え、一度に歯を全て失ったわけではないでしょうから、
どうしても残った歯で噛んでいた時のクセがついています。
このため、最初はそのクセが残っていて特定の歯だけで噛んでしまいがちですが、
それをやると均等に噛んでいないことでどちらか一方が浮き上がってしまいます。

5. 最初は練習が必要

正直、総入れ歯にした人がいきなり上手に噛めることはまずないでしょう。
このため、上手に噛むためには練習をして総入れ歯に慣れなければなりません。
そして、練習の基本はやわらかいものから食べて慣らしていくことです。

やわらかいものを食べてそれに慣れたら少し硬いものに挑戦する、
そんな感じで徐々に食べられるものを増やしていってください。
元々総入れ歯はあまり硬いものは噛めないので、いきなり硬いものに挑戦するのは禁物です。

6. 歯科医に相談しても良い

総入れ歯に慣れるまでの期間は個人差がありますから、一概に慣れるまでの期間は断言できません。
しかし、もしあまりにも上手く噛めないようであれば歯科医に相談してみましょう。
そうすれば上手に噛むためのアドバイスが貰えるでしょうし、噛み合わせもチェックしてもらえます。

特に、噛み合わせは総入れ歯を使用する上で大変重要で、
例え上手に噛める人でも定期的に通院してメンテナンスが必要なほどなのです。
上手く噛めない理由は、もしかしてこうした噛み合わせの不具合による可能性も考えられるのです。

7. まとめ

いかがでしたか?
最後に、総入れ歯になった場合の噛み方についてまとめます。

  1.  咬合力を知っておく :総入れ歯の咬合力は天然の歯に比べて3割程度の力しかない
  2. シーソーの原理を知っておく :総入れ歯はシーソーと同じで、一方に力が掛かるともう一方が浮き上がる
  3. 前歯と奥歯の使い方 :前歯で噛んで奥歯で潰す。一方しか使用しない噛み方だともう一方が浮き上がる
  4. 両側の歯の使い方 :両側の歯で均等に噛む。一方しか使用しない噛み方だともう一方が浮き上がる
  5. 最初は練習が必要 :やわらかいものから徐々に慣らしていき、少しずつ硬いものに挑戦していく
  6. 歯科医に相談しても良い :あまりにも上手く噛めないのであれば、歯科医に相談するべき

これら6つのことから、総入れ歯になった場合の噛み方が分かります。
総入れ歯で上手に噛むには「咬合力の弱さ」と「シーソーの原理」、これら2つを前提として考えましょう。
そうすれば、噛めるものや噛み方が少しずつ分かってきますし、徐々に総入れ歯にも慣れてきます。
これから毎日使用していくわけですから、焦らずにゆっくりと噛み方を覚えていきましょう。